JSPad
JSPad について
JSPad はアメリカの Valerie Sutton 氏が考案した手話の文字体系（書記体系）である SignWriting を使って，手話の単語や文書を作成・編集するためのソフトウェアです。 開発途上のシステムなので，まだまだ機能的に不十分な点がありますが， まずは手話を書く（読む）ということを体験してもらえるようにと公開を始めました。
SignWriting は日本語や英語などの音声言語における文字と同じように， 日常生活のあらゆる場面での手話の読み書きに利用されることを目的として開発されました。 海外では SignWriting によるニュースレターや絵本の発行， ろう教育の場での利用（教科教育，音声言語教育 への応用）も試みられています。 SignWriting について詳しくは，SignWriting Site にある SignWriting Lessons の教材をご覧ください。 Wikipedia (SignWriting) にも解説があります。
JSPad では，手の形や動き，顔の表情などを表す SignWriting の記号を，マウスを使って選択し，画面上に配置していくことで， 自由に手話単語を組み立てていく図形エディタ式の入力のほか， 日本語の入力と同じようにキーボードを使った入力も可能です。 キーボードを使った入力では，JJS表記法 (jjs-notation)*1,*2,*3 と呼ばれる日本語の語句を使った手話表記法で手話を入力します。 JSPad は，JJS 表記から SignWriting への変換（JJS-SW変換; JS変換）を行い，結果を画面に表示します。 このJS変換機能がJSPadの特徴であり，名前の由来にもなっています。
ただし，現在のバージョンでは JS変換に使用する手話単語辞書の登録語数が 2,000 語程度と少ないこともあって，JJS 表記法による入力機能は限定的なものになっています。 しかし，JSPad には辞書編集機能が備わっていますので，ユーザ自身で辞書を拡張していくことが可能です。
バージョン 0.8 以降では，ユーザが記述した単語に類似した単語を辞書から検索して表示する『手話-日本語辞書機能』を実験的に実装しました。
Windows 版に加えて，macOS 版も公開しました。
動作環境
下記の環境での動作を確認しています（動作を保証するものではありません）。
- Microsoft Windows 10/11
- Microsoft .NET Framework を使用
- Microsoft .NET Framework を使用
- macOS 10.3以降
ダウンロード
Windows版
-
JSPad-1.1.zip（.NET Framework 4.8 使用，ZIP形式，3.4
MB）
- Windows 10/11，64ビット版（2022/03/03 更新）
- JSPad-1.0.net452.zip（.NET
Framework 4.5.2 使用，ZIP形式，3.2 MB）
- Windows 8/8.1/10 用
- JSPad-0.9.7.net35.zip（.NET
Framework 3.5 SP1
使用，ZIP形式, 2.9 MB）
- Windows 7 用
macOS版
- jspad-1.0.1.dmg （簡易インストーラ（ディスク イメージ ファイル） 6.4 MB）
インストールと起動
Windows 版
配布パッケージは ZIP 形式で圧縮されているので， 適当な圧縮解凍ツールを使って展開してください。 展開されたファイルは同一フォルダに入れておきます。
配布パッケージには以下のファイルが含まれています。
- JSPad.exe: JSPad 本体
- SWGen.dll: JJS表記からSignWritingへの変換を行うための動的ライブラリ
- SWDic.db: SignWriting生成用の手話単語辞書（SQLiteデータベース）
- iswa2010bin: SignWritingの記号 ISWA2010 の画像アーカイブ
- iswa2010data.db: ISWA2010のコード変換テーブル（オンラインSignPuddleの文書インポート用）
- ja-JPフォルダ: 日本語リソースファイルが入ったフォルダ
- docフォルダ: HTMLヘルプファイル
- Readme.txt: 簡単な説明
- System.Data.SQLite.dll: SQLite3用ADO.NETプロバイダー
JSPadを起動するには，JSPad (JSPad.exe) をダブルクリックします。
Windows 10/11
では，初回実行時に「WindowsによってPCが保護されました」と表示されるかもしれません。その場合は「OK」ではなく「詳細情報」を選択し，「実行」をクリックします。
※ .NET Framework が無効になっている場合は，[コントロールパネル] > [プログラム] > [Windows の機能の有効化または無効化] から有効にしてください．
※ JSPadはWindows Formアプリなので4Kなどの高解像度ディスプレイには対応していません。 表示が乱れる場合は，JSPad.exe のプロパティを表示し， 互換性 ＞ 高DPI設定の変更 ＞ 「高いDPIスケールの動作を上書きします」 にチェック ＞「システム」または「システム（拡張）」 を選択してください。
macOS 版
- ダウンロードした簡易インストーラ（jspad-x.x.x.dmg）を開きます。
- JSPadのアイコン（左側）を Applicationsアイコン（右側）にドラッグすれば，インストールは完了です。
JSPadを起動するには，アプリケーション フォルダから JSPad を選択します。
開けない場合は，Finder でアプリケーション フォルダを開き，JSPad を右クリック（または controlキーを押しながらクリック）して，「開く」を選択してください。
アンインストール
Windows 版
展開されたファイルやフォルダを削除してください。
（個人設定ファイルは，各ユーザの AppData\Local\Gifu_University 以下に保存されています．）
macOS 版
アプリケーション フォルダ（/Applications）から JSPad（JSPad.app） を削除してください。
使用条件
本ソフトウェアは無償で使用していただけます。 ただし，本ソフトウェアの使用によるいかなる損害に対しても一切責任は負いません。
本ソフトウェアには，SIL Open Font License (OFL) のもとで配布されているISWA 2010 フォント（記号の画像データ）を加工したデータが含まれています。 フォントのご使用に当たってはオリジナルのフォントのライセンスに従ってください。オリジナルデータは下記のサイトから入手可能です。
また，SQLite3データベースを操作するための ADO.NET プロバイダー System.Data.SQLite.dll も含んでいます（Windows版）。最新版は下記のサイトから入手できます。
お問い合わせ
JSPad に関するお問い合わせ・ご要望等がございましたら，下記のアドレスまでメールでご連絡ください。
-
jspad
mat.info.gifu-u.ac.jp
主な更新履歴
Ver. 1.1（Windows版）
- 64ビット化しました．
- 手話-日本語辞書機能を改良しました．
- マニュアルを一部更新しました．
- 単語辞書を拡充しました（中山慎一郎様よりご提供いただきました）．
Ver. 1.0 （Windows版, macOS版）
- 手話単語検索機能（手話-日本語辞書機能）を改良しました．
- Windows版にSignPuddleで公開されているASLなどの辞書をJSPad用に変換する機能を追加しました．
Ver. 0.3.1（macOS 版）
- Swift3に移行しました．
Ver. 0.2.2（Mac OS X版）
- 単語のコピー＆ペースト関連の不具合を修正しました．
Ver. 0.2.1（Mac OS X版）
- バグをいくつか修正しました．
- Windows版と同様，お寄せいただいた辞書の内容をマージしました．
- Objective-CからSwift2に移行しました．
Ver. 0.9.7（Windows版）
- お寄せいただいた辞書の内容をマージしました．
- 辞書マージのログをファイルに記録するようにしました．
Ver. 0.9.5（Windows版）
- 開発者向け（記号間類似度，単語間類似度表示）機能追加
- ドラッグ＆ドロップで文書ファイルを開く機能の修正
Ver. 0.9.4（Windows版），Ver. 0.1.11（Mac OS X版）
- [Win/Mac共通] 辞書の更新．辞書アップロードページに寄せられた単語などを追加しました．
- [Win版] 開発者向け機能（手話-日本語辞書関連）の追加．
Ver. 0.9.3（Windows版）
Ver. 0.9.2（Windows版）
- [Win版] 高解像度ディスプレイ使用時の不具合を暫定的に修正しました．
Ver. 0.9.1（Windows版）
- [Win版] 手話-日本語辞書機能を改善・高速化しました．
Ver. 0.9（Windows版）
- [Win版] 複合語の登録・表示に対応しました。いくつかの不具合を修正しました．
Ver. 0.8.12（Windows版）， Ver.0.1.10（Mac OS X 版）
- [Win/Mac共通] 句読点記号に大括弧（brackets）を追加しました．
Mac OS X版 0.1.9
- 設定画面から外部辞書のパスを指定できるようにしました．
- 手形記号の色分け表示機能を修正しました．
Ver 0.8.11 (Mac OS X 版 0.1.8）
- [Win/Mac共通] SignPuddle Onlineで公開されている spml 形式の文書をインポートできるようにしました。
- [Mac版] 手形記号の左右色分け表示機能を実装しました。
Ver. 0.8.10 (Mac OS X 版 0.1.7）
- [Win & Mac共通] 単語の辞書登録機能の改良しました。具体的には，登録しようとした単語の名前が既存の単語と同じだった場合，それらのうちどの単語と置き換えるか，または，追加登録するかをユーザが選択できるようにしました。
- [Mac OS X版] 単語辞書への書き込みができない不具合を修正しました。そのためにインストーラを pkg から dmg に変更しました。
Ver. 0.8.9
- 異なる動作の手話単語を同じ名前で辞書に登録したいときに，それらを区別するための「タグ」を導入しました。単語登録画面で指定できます。
Ver. 0.8.8
- JS変換入力の不具合の修正しました．
- 記号パレット（手型グループ6）の並び順を若干変更しました．
Ver. 0.8.7（Mac OS X 版 Ver. 0.1.6）
- 辞書に同名の単語を重複登録できるように仕様を変更しました．
Ver. 0.8.6（Mac OS X 版 Ver.0.1.5）
- 手型記号「８」の改良，「80」の追加，および，記号追加に伴うプログラムの修正を行ないました．
Mac OS X 版 Ver. 0.1.4
- Mac OS X 版を公開しました．
Ver. 0.8.5
- ISWA2010 に含まれていない引用符の記号を記号パレットに追加しました．
Ver. 0.8.4
- コピーした記号や単語を，Microsoft Word など他のアプリケーションにも画像として貼り付けられるようにしました（単語は一度に1つだけコピーできます）．
- 単語辞書のマージするとき，単語名のひらがなとカタカナ，全角と半角を区別するようにしました．
Ver. 0.8.3
- JS変換入力機能のユーザインターフェース改善のため，Ctrl+Space を押すことで，現在のカーソル位置にjjs-SW変換入力用のウィンドウが表示されるようにしました．
- 変換の結果，複数の候補が存在する（その単語と同じ意味の単語が複数存在する）とき，スペース・キーを押すと別の候補が表示されるようにしました．
Ver. 0.8
- jjs-SW変換入力時に，入力された単語名と同じ意味をもつ単語も候補として選択できるようにしました．
- SWで入力された単語の意味を表示する手話-日本語辞書機能を実験的に追加しました．
- Windows 8 での動作を確認しました．
Ver. 0.7.3
- マウスポインタがウィンドウに入ったときの振る舞いを変更しました（ウィンドウを最前面にするのをやめました）．また，アプリケーション終了時の振る舞いを変更しました．
- ISWA記号を追加・修正しました．
- バグフィックス
- ヘルプ文書に記号・単語操作用のショートカット・キー一覧を載せました．
Ver. 0.7.1
- 記号パレット中の記号の説明（ヒント）を追加・修正しました．
Ver. 0.7
- 単語辞書データベースに訳語テーブルを追加し，各単語の日本語訳を登録できるようにしました．登録された訳語は単語一覧表示画面で確認できます．
- 記号パレットから単語描画領域へ記号をドラッグ＆ドロップできるようにしました．
Ver. 0.6.2
- JJS-SW変換入力機能の改良
Ver. 0.6
- ISWA 2010 対応に変更
手話単語を構成するISWA記号のコードが ISWA 2008 から ISWA 2010 へ変更となったため，Ver.0.5 以前で作成した単語辞書や文書ファイルはコードの変換が必要になります．
以前の辞書と文書はそれぞれ SWDicConv と SWDocConv を使って変換することができます．
Ver. 0.5
- 辞書データベースの形式を SQLite3 に変更
- 辞書登録単語一覧表示を改善
Ver. 0.4
- 辞書登録単語検索・一覧表示機能を追加
- 辞書マージ機能を追加
- 記号パレット上の記号説明表示を一部実装
Ver. 0.3
- 公開準備
- ページ単位の表示からスクロール表示への変更
- 横書きへの対応
Ver. 0.2
- C++/CLI から C# への書き換え
文献
*1: 松本忠博・池田尚志：日本語から手話への機械翻訳のための手話表記法の試み，『手話コミュニケーション研究』No.57, pp.31-37 (2005)
*2: 松本忠博・原田大樹・原 大介・池田尚志：日本語を援用した日本手話表記法の試み，『自然言語処理』Vol.13, No.3, pp.177-200 (2006)
*3: 池田尚志・松本忠博：点字と手話と自然言語処理，電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ
"Fundamentals Review," Vol.4, No.4, pp.282-292 (2011)